― 音階・エチュード・曲を正しい順番で ―
バイオリンの上達には、「どの教本を使うか」だけでなく
「どんな順番で取り組むか」がとても重要です。
私はバイオリンを長年続けていますが
振り返ってみて「この順番でやってよかった」と思える流れがあります。
このページでは、
音階 → エチュード → 曲
の順番で、学習に役立つ教本を簡潔に紹介します。
音階(基礎の土台を作る)
音階練習は地味ですが、
音程・ボウイング・左手の安定を同時に鍛えられる、最も重要な練習です。
ヴァイオリン音階教本《小野アンナ》
日本のヴァイオリン教育で長く使われてきた、基礎重視の音階教本です。
シンプルな構成で、音程・運指・ポジション移動を無理なく身につけられるのが特徴です。
初心者から中級者まで、毎日の基礎練習に取り入れやすい一冊です。
カール・フレッシュ《スケール・システム》
全調の音階や分散和音、重音まで体系的にまとめられた、世界的に定番の音階教本です。
音程の安定、左手のポジション感覚、ボウイングのコントロールを総合的に鍛えられます。
中級者以上の基礎作りや、長期的に使える音階教材としておすすめです。
セヴシック Op.1
音階的な動きで左手の独立と正確さを鍛える教本。
短い練習が多く、毎日の基礎練習に取り入れやすいのが特徴です。
音程感覚を安定させたい人に向いています。
エチュード(技術を段階的に向上)
エチュードは、
「弾けない原因」を技術面から解決してくれる練習曲集です。
レベルに応じて段階的に進めるのがおすすめです。
新しいヴァイオリン教本【1〜3巻】
バイオリンの基礎を、やさしい曲形式で学べる導入向けの教本です。
1〜3巻では主に1stポジションを中心に、音程・運指・基本的な弓使いを無理なく身につけられます。
音階練習と本格的なエチュードの前段階として、初学者に適した内容です。
新しいヴァイオリン教本【4巻】
基礎から一歩進み、演奏技術を段階的に広げていく内容の教本です。
ポジション移動や表現面の要素が増え、エチュード的な性格が強くなります。
やさしいカイザーへの橋渡しとして、次の段階に進むための一冊です。
クロイツェル
中級者の壁と言われる定番エチュード。
左手と右手の連動、音程、リズム感など、演奏の基礎体力を総合的に鍛えられます。
多くの曲の土台になる教本です。
新しいヴァイオリン教本【第5・6巻】
第5・6巻では内容がさらに発展し、本格的なエチュードに近い構成になります。
高音域やポジション移動を含むパッセージが増え、左手と弓のコントロールをより深く学べます。
特に6巻はバッハの無伴奏パルティータ第3番、ツィゴイネルワイゼン、シャコンヌなど上級レパートリー抜粋集なので通すだけでも難しいレベルです。
曲集・レパートリー
曲を練習することで、テクニックを「音楽表現」として使えるようになります。
人前で弾けるとカッコいい曲が載っている曲集を集めました。
バイオリン名曲31選
チャルダッシュや《タイスの瞑想》など、バイオリンで親しまれている名曲を収録した曲集です。
華やかな技巧曲から歌心を大切にする小品まで幅広く含まれており、表現力や音楽性を養うのに適しています。
クライスラー ヴァイオリン名曲集
クライスラーの代表的な小品をまとめた曲集で、バイオリンらしい歌心や洒落た表現を学べます。
技巧的に見えても音楽性が重視される曲が多く、音色やフレージングを磨くのに適しています。
発表会や演奏会のレパートリーとしても人気の高い一冊です。